ベートーヴェン作品110考察[5] (2007.01.16)
"Adagio ma non troppo"
レチタティーヴォと同じ速度表示です。
何が違うか。拍子、これは変わらず4拍子。
違うのは、
tutte le corde.というところでしょうか。
レチタティーヴォの終わりは、「消えながら」。
そこから始まるアリアの前奏は、
弦を全て鳴らした上、同音連打にペダルまで。
そして音が増えて和音を形作りながら、
アリアはpなのに直前までcrescendo。
なぜこんな風に始まるのか?
一つの「嘆き」の表し方、
予告、なのだと思います。
「これから言いたいことは
悲しみ、憂い、絶望、虚無ではなく、
嘆きなんだ!」
という予告。
で、『嘆きの歌』が始まるわけです。。
歌は
4小節単位の節が4つで作られています。
和音連打の伴奏に乗って、メロディが歌うわけですが、
完全な、
起承転結となっているのが見た目からもわかります。
はじめの4小節で、
心境の語り出し。
思い余って拍に乗り切れないでいるような
シンコペの多用。
ジリジリと
半音進行でもう一つのメロディを作り出すようなバス。
♭6つの
変イ短調は、これでもかと言うほどに後ろ向きな気持ち。
次の4小節は、バスの和音が少し開いた形になり、
調も平行調の
変ハ長調。3小節にわたる長い長いスラーで
音高も音価も共に
高揚していきます。
行き着いた先は
1オクターブも上の世界。
続く部分ではト音記号に上がってきてしまった
根音の抜けた伴奏の和音によって
疑問符が打たれ、
その答えはというと、1節目に出てきたシンコペによる下降型。
廻るばかりで先へ進まない。
内声に
ため息が聴こえ、諦めのような最終節。
歌を終えてから、最後に付け足された1小節間。
十字架の音型で、神様に祈ってみる。
次回へつづく
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ピアノにあって、黒鍵と、その黒鍵に隣り合う白鍵の間は、半音である。また、間に黒鍵を挟まない隣同士の白鍵の間も、半音である。、、の音程は半音である。半音の倍を全音と言う。平均律にあっては周波数比は半音の周波数比の自乗となり、1:\sqrt[6]である。その他
| 単位とかいろいろ | 2007/03/12 7:43 AM |