こんばんは。
ピアニストっていう仕事は、
いったい何をしてどれくらい稼いでいるのか。
音大を出ないとなれない、ということは
なんとなく想像がつくところかと思います。
(実際は音大は絶対条件じゃない!)
イメージは、華やか・優雅・ドレス・・・そんなところ?
だけど本当の、演奏家の仕事の内容って、
空想の世界っていうか、もやーっとしてますよね。
よくわからんのではないでしょうか。
今日は私のピアニストとしての仕事について、
ちょいと紹介してみようと思います。
ごくごく一般的な、
平凡ピアニストの一例だと思われます。
1、どうやって仕事を得るのか。
いわゆるツテやコネです。始めは先生や友人や親戚など
様々な知り合いから、「演奏の場」を紹介してもらいます。
もうひとつは、売り込みです。
自分の名刺なり、PR音源なりを配るのです。
サイトを作るのも売り込み行為です。
2、「演奏の場」とは?
どのような場面で、ピアノ演奏が必要とされるのでしょうか。
大きく3つに分けられます。
○コンサート(いわゆるコンサート、また学校や施設への訪問コンサート)
○BGM(セレモニーや飲食店などでのBGM生演奏)
○教育現場(発表会やコンクールなどでの子供や学生の伴奏)
3、どんな曲を弾くのか?
私の仕事では、95%がほかの楽器との共演です。
そして大抵の場合、曲目や曲想は先方からの指定があります。
例えば、コンサートの場合は「よく知っている曲を」とか、
セレモニーの場合は「クラシック中心」、「ポップス中心」のような。
ダイレクトに先方指定の曲のこともあります。
どのようなリクエストがあっても、またどのような編成であっても、
応じる能力が必要とされます。
4、オファーから本番までの流れ。
案件により様々ですが一例をあげますと、
まず「いつ、どこで、いくらで、こんな演奏をしてもらえないか」
という打診をうけます。相談して決まったら、
場合によっては曲や共演者を探し、楽譜を作ります。
購入したまま使うことは稀で、譜めくりなどの都合から
使いやすいようにコピー、製本します。
また曲目によっては購入せずに、音源から起こしたり、
伴奏を自分で考えたり、移調したり、ということが必要になります。
これが地味に大変な作業です…
そして自主練習。「合わせ」までにしっかり弾けるようにしておきます。
レパートリーが増えてくると、この自主練の時間を短縮できます。
本番前に、共演者との音だし練習、いわゆる「合わせ」を1回以上行います。
合わせでは練習する以外にも、時間調整のための曲中カットを決めたり、
曲目の最終決定や、衣装の確認、当日のスケジュールの確認を行います。
そして本番。という流れです。
5、いくら稼げるの?
気になるところなようですが、これも様々。
自分で「いくら」と決めている方もいるようですが、
私の場合は特に決めていません。
ギャラに関しては地域性も多くあると思いますが、
新潟では本番1回で私のようなピアニストに支払われるお金は、
1〜2万円という場合が多いです。
この中に、練習・合わせ・経費・交通費が含まれます。
たまに、合わせ1回につき5000円程度、別にいただくこともあります。
また、ボランティアの場合もありますし、
参加費を払う本番も実はあります。
6、参加費を払う本番って?
いわゆる「自主企画」の本番が、そのひとつです。
自分がやりたい曲をやりたい会場でやる、という場合です。
会場費から経費から、すべて自分もちとなり、
チケット収入からペイします。宣伝頑張れば黒字。
赤字覚悟の事業です。
また、どこぞの協会や同窓会主催などの場合もやはり、
自己負担金がありますし、チケットノルマもあります。
***
ピアニストのお仕事、ちょっとわかっていただけたでしょうか。
ソリストとして演奏活動しているようなピアニストは、日本でほんの数名。
音大出ました、というような一般レベルの私たちができる演奏活動は、
こんな感じのお仕事です。
好きでやっている演奏活動。よろこんで聴いてくださるお客様がいる、
そんな舞台に立てるのは、やりがいも喜びも言葉で表せないほどにあります。
けど、素晴らしい仕事である反面、これだけで独り立ちして
食っていくには難しいんです。
というわけでやはり、指導をしたり、ほかの職業を掛け持ちしてたり、
するわけなんですけどね。
とくに音大出たてのころは、収入より支出のほうが圧倒的に多いと
思います。
ちなみにもうひとつ、私のような子育て中にはしにくい仕事ですね。
土日が多いこと、夕方〜夜の仕事もあること、就労証明がないこと、などの理由で
子供たちを保育園に預けられません。民間の託児施設に子供二人預けると、
合わせ中も含めれば正直言って足が出ます。で、それはあんまりなので、
家族に頼ったり、共演者に頼ったり(爆)ということになります。
さて、いかがでしたでしょうか…
なんか怖い話みたい。夏休み、背筋が涼しくなったかな?